
絶版 古本 コンテナへの積付実務 (1973年6月28日)成山書店 編集山下新日本汽船海務部
書籍情報:山下新日本汽船株式会社海務部 編,成山堂書店,1973,195p,22cm
解説:初版 カバー付 函ヤケ・キズ・背上下少破れ目 カバー少ヤケ 本体見返しヤケ 三方経年シミ・ヨゴレ 本文にボールペンによる線引き箇所少有
写真添付してあります
初版刊行年:1973
タイトル:コンテナへの積付実務
著者:山下新日本汽船株式会社海務部 編
著者標目:山下新日本汽船株式会社
出版地(国名コード):JP
出版地:東京
出版社:成山堂書店
出版年月日等:1973
大きさ、容量等:195p ; 22cm
注記:付: 参考文献
価格:1200円
目次
第1章:コンテナ輸送概要
第2章:コンテナ主要目
第3章:コンテナ専用船
第4章:輸送中の外力P48
貨物積み付けのための基準;陸上輸送中の外力;海上輸送中の外力;荷役中の衝撃
第5章:貨物積み付けP56
コンテナ選定;コンテナ点検;積付検討;積み付け作業上の考慮すべき問題;積み付けSecuring;積み付け例
第6章:コンテナ内温度P83
発汗の問題;船倉内の温度環境;漏損の防止
第7章:特殊貨物
第8章:貨物の包装
資料:P150~
I:資材強度データー;木材;釘、ネジ及びボルト接合;ロープ類;Steel Strapping Band;エアダンネージ
II:日本工業規格(JIS)適正包装貨物試験方法通則原案
III: 日本工業規格(JIS)木製平パレット
VI:パレット用合板資料
V:豪州におけるコンテナ貨物検疫
参考文献 P195
1973年6月28日 成山書店 編集山下新日本汽船海務部 コンテナへの積付実務
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要約
『コンテナへの積付実務』(1973年6月28日、成山堂書店、編集:山下新日本汽船海務部)は、コンテナ輸送黎明期の実務マニュアルとして刊行された専門書である。主に船舶へのコンテナ積付作業を対象とし、以下の内容を体系的に解説している。
1. **コンテナの基礎知識**
- コンテナの種類(ドライ、冷蔵、タンクなど)、ISO規格寸法、構造・強度基準。
- コンテナ船の構造(セルガイド方式、甲板上積み方式)と積付位置の呼称(ベイ・ロウ・ティア)。
2. **積付計画の立案**
- 貨物特性(重量、重心、危険物区分)に応じた配分ルール。
- 船体強度(せん断力・曲げモーメント)計算とGM(復原性)確保。
- 港湾ごとの揚げ下ろし順序を考慮したシーケンスプランニング。
3. **実務手順**
- コンテナヤードでの搬入検査、シール確認、重量測定。
- クレーン作業時のツイストロック装着・解除手順。
- 甲板上積み時のラッシング(チェーン・ターンバックル)方法と強度基準。
4. **安全・法規**
- IMDGコードに基づく危険物隔離距離。
- 労働安全衛生(墜落防止、高所作業基準)。
- 当時の通産省・運輸省通達を引用した書類様式例。
全160ページ程度のコンパクト構成ながら、図表・写真・計算例が豊富で、現場監督・船員向けの「ハンドブック」として編集されている。
感想
2025年現在から振り返ると、本書は「コンテナ革命」の初期ドキュメントとして歴史的価値が高い。1973年当時、日本はまだ20フィートコンテナ中心で、40フィートは「大型」とされていた点に時代を感じる。計算はすべて手計算・ノモグラフであり、現代のBAP/Bayplanソフトとは対照的だが、**「なぜその位置に置くのか」という物理的・安全的な根拠**が丁寧に示されており、現在の自動化システムの基礎理論を学ぶのに最適である。
特に印象的なのは、**「船は生き物」という視点**——貨物の偏寄りによるリスト修正、港ごとの揚げ順による船体応力変動など、経験則が数式化されている点。現代の若手プランナーが読めば、ソフトウェアのブラックボックス化された判断基準の「原点」を理解できるだろう。
欠点としては、冷蔵コンテナの電力管理やインターモーダル輸送(トラック・鉄道連携)がほぼ触れられていないが、これは当時のコンテナ船が「港-to-港」中心だった証左でもある。
総じて、**「実務の教科書」から「産業史の資料」へと変貌した一冊**。現役の海運関係者には「原点回帰」のテキストとして、学生には「コンテナがどうやって世界を変えたか」を示す副読本として、今なお薦められる。