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遠藤 周作
心のふるさと

夙川教会で出会ったメルシュ神父の思い出、神田ランボオで酒をあおった日々、闇市で靴磨きをした体験。著者が晩年に発表したエッセイのうち、みずみずしい青春時代の思い出を描いたものを収録。

遠藤周作さんにも、靴磨きのアルバイトをしていた頃があった。占い師に「小説家にはなれません」と宣言されたこともあった。梅崎春生、舟橋聖一など、懐かしい文士たちの横顔。芥川比呂志、吉行淳之介ら、友たちの思い出。最晩年の著者が青春と交友、そして文学を、時に哀切に、時に峻厳に回想した珠玉のエッセイ集。

目次
１　源流をたずねて
２　人生の伏流（一人の外国人神父；「三田文学」の頃　ほか）
３　青春の急流から（アルバイトのことなど；幽霊の思い出）
４　せせらぎ小景（犬；作者冥利　ほか）
５　深い河の畔で（二つの問題―堀辰雄のエッセイについて；小説技術についての雑談　ほか）

レビューより
芥川比呂志、吉行淳之介、船橋聖一等すでに他界してる友人たちの思い出を懐かしさ、寂しさを込めて書かれてる。いかに交流範囲が広いか、そして密度の濃い付き合いか文面から感じることができる晩年のエッセイである。



少年時代から青年期、作家としての円熟期まで、記憶を遡って著された回想。懐かしい固有名詞の数々、遠藤氏にとってはどれも瑞々しい人生の断章なのだろう。まさに文士と呼ぶにふさわしいお歴々との交友は小さなエピソードこそが親しさを表して、地味だが奥深い。



梅崎春生、舟橋聖一など、懐かしい文士たちの横顔。芥川比呂志、吉行淳之介ら、友たちの思い出。最晩年の著者が青春と交友、そして文学を、時に哀切に、時に峻厳に回想した珠玉のエッセイ集。


三浦朱門氏と共に体験した幽霊体験や、フランス留学時代の人間関係、佐藤愛子氏との思い出などは印象に残った。また、尊敬する作家、グリーン氏に出会った時の氏の喜びや、慶応の学生時代の頃の靴磨きのアルバイトの思い出など、興味深いものも多かった。