本全集の特徴
[本文]は読みやすく、どの教科書にも対応
語釈が容易に対照・参照できるよう、本文は適切な長さに区切った。また、教科書ごとの特異な本文、語注にも対応できるよう、本文中に( )で異語句、異文を示した。
[口語訳]は正確な逐語訳
口語訳は、文法に則した逐語訳で、本講座のための新たに書き下ろしたものである。原文では省略されている主語や、必要とする語句を( )< >内に補足し、実際の授業でそのまま開陳でき、また、生徒に対する発問や説明のポイントを理解し易いように配慮し、必要以上の意訳を避けた。
[語釈]は一目瞭然、比較研究が容易
語釈の項は次のように二大別される。まず第一は【標準語釈】とも呼ぶべき項で、現行教科書の語釈の集成であり、語釈の部の冒頭に掲げた。これはさらに内容の上で二種にわかれる。
●その作品を収録した教科書が多数にのぼる場合の[語釈]は、その作品を収めた全教科書の語釈の中より最も適当なものを選択し、あるいは複数教科書の語釈を参考とし、集約を掲げた。実際の授業にあたり、他の教科書の実態を知り、同時に授業に便ならしめるための配慮である。
●その作品に収めた教科書が数少ない場合は、本講座の編集委員が必要に応じ、専門領域に従って分担・執筆した。
第二は、【文献語釈】とも言うべきもので、教科書に選択されている各作品について、定評のある注釈書を取り上げ、刊行年代順に並べ、その語釈(語注)を掲げたものである。書く注釈書の語釈の比較検討によって、教授者各位の教材研究を容易にし、また、今日に到る注釈の到達点を理解するための一助とした。
[文法]は重要語句をわかりやすく解説
作品の各段落ごとに、重要な語句を選び、品詞分解やわかり易い文法的解説を加えた。本文理解の助けとなるだけでなく、入試の指導にも最適の教材であろう。
[鑑賞]は「設問」への即応、一歩奥ゆきのあるものに
現行の各教科書に用意された本文理解のための、また理解を深化、発展させるための「設問」「研究の手引」に即応させると同時に、単なる古典の鑑賞から一歩進んで、より深い読みを教授できるよう、本講座の編集委員が各自の専門領域によって分担・執筆した。教授用指導書と併読することによって、より一層授業の効果が高められるであろう。
[古典余禄]は授業をおもしろくする
とかく生徒から敬遠されがちな古典の授業で、生徒の興味と関心を呼び起こし、学習意欲を高めることで目標に、作者・作品にまつわるエピソードや、社会的背景、当時の風俗や習慣など、授業で使える話題を、専門家の執筆により多数項目収録した。