
脱カリスマの経営 吉田忠裕
自宅保管の品です。中身は大変美品ですが古いものですので、表紙など若干の経年変化はございます。ご理解頂ける方にご検討をお願い申し上げます。
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ファスナー事業で圧倒的な世界シェアを誇るYKKの社長、吉田忠裕が、その経営の要諦をつづった1冊。著者は絶大な影響力を誇った創業者、吉田忠雄の長男で、MBA取得後YKKに入社。現在のYKKを支える建材事業の立役者としても知られている。
日本を代表する伝統企業YKKのカリスマ創業者とケロッグ・スクールを卒業したMBAホルダーの2代目社長。この対比だけでもじつに興味深いが、注目は、いかにして2代目が創業者の絶大な影響力を乗り越え、新しい時代に合った経営を展開していったかという点であろう。
著者が現役社長ということもあり、若干食い足りない部分もあるが、謎のベールに包まれた伝統企業、YKKの実態をかいま見られるのは、興味深い。海外事業で長年にわたり成功を収めている理由や、新規事業を軌道に乗せることができた理由などは、興味深く読むことができる。とりわけ、「自社の思想を提示し、その思想を商品という形で様々な消費者に提案してみる」という「現在のプロダクト・アウト」という考え方は、製造業の関係者にとって、刺激的であるに違いない。また、流通全般について述べた部分では、卸や小売業にとっても参考になる考え方が示されている。(土井英司)
メディア掲載レビューほか
脱カリスマの経営
1代でグローバル企業を育て、カリスマ経営者と呼ばれた父、故・吉田忠雄氏の跡を継いで10年。著者は父親と存在感を競うことはせず、ひたすら「時代への対応」に心を砕き、行動してきた。自然体で語る、等身大の経営論
父でありYKKの創業者である先代を引き継いだ二代目社長が、成功体験にとらわれ硬直化した組織をどう立て直したか?MBAホルダーの視点で描く実践経営論。
目次
第1章 二代目経営者となるまで―MBA体験と父の姿
第2章 ファスナー事業の海外発展―カリスマが育てたYKK
第3章 建材事業の危機―カリスマから離れる日
第4章 新しい経営スタンス―カリスマ喪失後のミッション経営
第5章 YKK APでの改革
―建材事業で行った方針転換の実際
第6章 新時代に向けて―YKKグループのビジョンとミッション
レビューより
世襲経営がうまくいかない例は枚挙にいとまがない一方で、YKKは二代目がその実力で世襲に成功した好事例だと思います。 これはひとえに創業者の教育がよかったのと、二代目が賢く、同時に内省を怠らない素直さとコミュニケーション能力を併せ持っていたからだというのが、本書を読んで得心したことです。 ファスナー事業がナショナリズムの壁を越えて受け入れられるまでのエピソードや、建材事業の展開、子会社間の利害調整への姿勢など、単なる成功譚に終始せず、中小企業経営者の参考書として座右に置ける内容となっています。