16CD
廃盤
《ダニエル・バレンボイムの芸術》
ベルリオーズ、
ブルックナー、
チャイコフスキー、
シューマン、
ドビュッシー、ほか
バレンボイムがドイツ・グラモフォンにおこなった録音から三十代の頃の演奏を中心に収めたボックス・セットがイタリア・ユニバーサルから登場。
すべてCD化されている音源ですが、中にはベルリオーズのレクィエムなど久々の復活となるものもあります。
当時のバレンボイムは指揮者を本業とし始めた時期ということもあってか、強い主張を込めた演奏に仕上げることが多く、そうした姿勢は、実演だけでなくセッション・レコーディングにまで反映されていたのが印象的でした。
主張といってもそれはあくまでも作品に合わせてのもので、たとえばベルリオーズの幻想交響曲では、パリ管弦楽団の豊かな色彩と豊麗なサウンドを余裕のあるテンポで活かし、グロテスクなまでの誇大妄想的側面をおもしろく描いていましたし、
同じくパリ管とのドビュッシー、ラヴェル、フランクでも、大きなフレームの中でそれぞれの楽員が巧みな演奏を展開しているのがユニークです。
やはりパリ管を指揮したワーグナーでも、雄大なスケールで楽譜情報をていねいに積み重ね、オケの美しいサウンドをワーグナーの誇大なドラマに巧みに練り込んでいたのが独特でした。
パリ管との演奏でさらに注目なのが、演奏時間89分に及ぶベルリオーズの巨大なレクィエムです。
特にディエス・イレ(怒りの日)の迫力には凄まじいものがあり、導入部でのリズミカルなフレージングと対立声部の鮮やかな処理、トゥーバ・ミルムでの落ちつきはらったテンポによる圧倒的なクライマックスの構築ぶりにはしびれるほかありません。
この部分、興奮のあまり急ぎすぎて矮小になってしまう演奏も多い中、バレンボイムのここでの堂々としたアプローチはまさに類例なしと言えるものでしょう。
録音も優秀で、バスドラの重低音や濡れ光るような金管セクションの荘厳なサウンドに加え、色彩豊かなオケとコーラスの魅力をあますところなく伝えるクラウス・シャイベの手腕には脱帽です。
余白に収められたベルリオーズ編曲による派手な“ラ・マルセイエーズ”も楽しい聴きものです。
一方でシカゴ交響楽団と録音したシューマンの交響曲全集では、人数を楽譜通りに絞ったソリッドで切れ味の良いサウンドにより、
シューマンの闘争的な面と陶酔的な要素を克明なコントラストで浮かび上がっていることに驚かされます。
そうした闘争的でパワフルな性格は、当時のバレンボイムの指揮ぶりに顕著なもので、
同じくシカゴ響とのサン=サーンスの『オルガン付き』や、チャイコフスキーの管弦楽作品集、
ブルックナーの交響曲第4番と第9番でも、迫力のある音楽を聴かせていました。
一方で、イギリス室内管弦楽団とのグリーンスリーヴスによる幻想曲ほかの英国作品集では、濃厚な美しさを感じさせる仕上がりをみせており、
同じくイギリス室内管とのベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲のピアノ編曲版でも、抒情的で伸びやかな音楽をピアノに移しかえて美しく示しています。
協奏曲といえば、パールマンと共演したエルガーのヴァイオリン協奏曲では、シカゴ響から抑えたサウンドを引き出して
、47分に達する大規模な協奏曲をメランコリックな味わいで響かせていました。
一方で、同じくパールマンと共演したラロのスペイン交響曲では、パリ管の明るい音を活かしたエネルギッシュな演奏が展開されるなど、
作品にふさわしい音をそれぞれのオーケストラで聴かせる手腕はやはり見事なものです。
CD1;
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲ニ長調 op.61(ヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.61の編曲)
イギリス室内管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(ピアノ、指揮)
・ベートーヴェン:ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第1番ト長調 op.40
・ベートーヴェン:ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第2番ヘ長調 op.50
ピンカス・ズッカーマン(ヴァイオリン)
ロンドン・フォルハーモニー管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1973年、1974年
CD2;
・ベルリオーズ:カンタータ『クレオパトラの死』 H.36
ジェシー・ノーマン(ソプラノ)
パリ管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
・ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
パリ管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1978年、81年
CD3&4;
・ベルリオーズ:レクィエム op.5
・ベルリオーズ:序曲『ローマの謝肉祭』 op.9
・ベルリオーズ:ファウストの劫罰 op.24~Invocation a la nature
・ルージェ・リール/ベルリオーズ編曲:ラ・マルセイエーズ
プラシド・ドミンゴ(テノール)
パリ管弦楽団&合唱団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1978年〜1980年
CD5;
・ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調 WAB.104『ロマンティック』(ハース版)
シカゴ交響楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1972年11月
CD6;
・ブルックナー:交響曲第9番ニ短調 WAB.109(1894年版)
・ブルックナー:詩篇第150番
ルース・ウェルティング(ソプラノ)
シカゴ・シンフォニー・コーラス
シカゴ交響楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1975、79年
CD;7
・ドビュッシー:夜想曲(雲/祭り/シレーヌ)
・ドビュッシー:交響組曲『春』
・ドビュッシー:交響的断章『聖セバスティアンの殉教』
パリ管弦楽団&合唱団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1977年、1978年
CD8;
・エルガー:ヴァイオリン協奏曲ロ短調 op.61
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
シカゴ交響楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1981年3月
CD9;
・フランク:交響曲ニ短調
・フランク:交響詩『プシュケ』
パリ管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1976年
CD10;
・ラロ:スペイン交響曲ニ短調 op.21
イツァーク・パールマン(ヴァイオリン)
パリ管弦楽団
・サン=サーンス:交響曲第3番ハ短調 op.78『オルガン付き』
ガストン・リテーズ(オルガン)
シカゴ交響楽団
・リスト:リゴレット・パラフレーズ
ダニエル・バレンボイム(指揮、ピアノ)
録音時期:197年から80年
CD11;
・ラヴェル:ボレロ
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
・ラヴェル:ラ・ヴァルス
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲
パリ管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1981年4月、5月
CD;12&13;
・シューマン:交響曲第1番変ロ長調 op.38『春』
・シューマン:交響曲第2番ハ長調 op.61
・シューマン:交響曲第3番変ホ長調 op.97『ライン』
・シューマン:交響曲第4番ニ短調 op.120
・シューマン:『マンフレッド』序曲 op.115
シカゴ交響楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1977年3月
CD14;
・チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
・チャイコフスキー:幻想曲『フランチェスカ・ダ・リミニ』 op.32
・イタリア奇想曲 op.45
・大序曲『1812年』 op.49
シカゴ交響楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1981年3月
CD15;
・ヴォーン・ウィリアムズ:グリーンスリーヴスによる幻想曲
・ヴォーン・ウィリアムズ:オーボエ協奏曲イ短調
・ディーリアス:春、初めてのかっこうを聞いて
・ディーリアス:河の上の夏の夜
・ディーリアス/フェンビー編曲:2つの水彩画
・ディーリアス:『フェニモアとゲルダ』間奏曲
・ウォルトン:『ヘンリー5世』からの2つの小品
・ヴォーン・ウィリアムズ:あげひばり
イギリス室内管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1973年7月、1974年5月、1975年9月
CD16;
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲
・ワーグナー:『さまよえるオランダ人』序曲
・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』~第1幕への前奏曲と愛の死
・ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』~第3幕への前奏曲
・ワーグナー:『神々の黄昏』~葬送行進曲
・ワーグナー:『神々の黄昏』~フィナーレ
・ワーグナー:『ワルキューレ』~ワルキューレの騎行
パリ管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
録音時期:1982年5月、1983年1月
コンディション良好。
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