【 極少入手困難 】
『ブルゴーニュの神様アンリ・ジャイエに匹敵する』と言わしめた伝説的なドメーヌ「シャルル・ノエラ」。不運にも1988年にラルー・ビーズ・ルロワ(マダム・ルロワ)に売却され、その輝かしい歴史に一旦幕が下りました。
その偉大さや、傑出したワインの存在感は心に残り、震える体験を何度かしていますが、もう造られていないのですから、世に出回る古酒のストックは減る一方。伝説と化し、近年はもうボトル自体をほとんど見かけなくなって来ていました。
数年前でもリシュブール・グラン・クリュは、20万円以上したと記憶します。わずかに存在したが1本20~40万円はする、その幻のお宝ワインを通じて後世に伝えられてきた偉大なノエラの歴史がいよいよ終わろうとしていた時、実孫である「ステファン・モロー」が立ち上がってくれました。
自身のルーツであるドメーヌ・シャルル・ノエラがルロワに破格の値段で売却され、消滅してしまったことを口惜しく思い、なんとか現代にその名声を復興できないかと模索。紆余曲折を経て、ラベルデザインも当時のままに、現代に見事大復活を遂げたのです。
シャルル・ノエラという偉大な家系の恩恵によるネットワークと、ブルゴーニュNO.1クルティエ(ワインの仲買人)と呼ばれた父がいたことから、すばらしい古酒の数々の発掘に成功。古酒愛好家の垂涎の的となっています。
広大な情報網を持つノエラのブランドは、その発掘力が群を抜いており、ブルゴーニュでは絶大な信頼を得ています。元クルティエならではのネットワークを最大限に活かして、古き良きブルゴーニュの有力生産者の蔵に眠っているオールド・ヴィンテージのボトル買いも行っています。その膨大なストックと品質の高さはブルゴーニュでも特に有名で、ルイ・ラトゥール、ジョゼフ・ドルーアンやアルベール・ビショーなどの優良ネゴシアンもこぞって買い付けに来るほどです。
名門シャルル・ノエラの希少古酒のなかでも、コンディションも抜群によい優良古酒です。熟成によって花開く、グラン・クリュの23年熟成は、クロ・サン・ドニの神髄とも言える、力強いストラクチャーとフィネスを兼備した見事な味わいが存分にお楽しみいただけます。
今回出品出来たのが「幻」と言えるほど《極少入手困難》なクロ・サン・ドニであることは間違いありません。
「モレ・サン・ドニ」村は、ジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニーに挟まれた人口わずか700人ほどの小さな村。この村の特徴は小さい面積の中にひしめく素晴らしいブドウ畑の数々。南北に僅か1.2キロメートルしかない小さな村ですが、小さなアペラシオンに5つの特級畑と20の一級畑を擁し、特級と一級畑の割合が総面積の50%以上占める超優良エリア。この数字はヴォーヌ・ロマネを完全に凌ぎます。
この「クロ・サン・ドニ」をはじめ、「クロ・ド・ラ・ロシュ」「クロ・デ・ランブレイ」「クロ・ド・タール」と、「ボンヌ・マール」を除く、4つの特級畑の名に「クロ(壁で囲まれた畑)」と付くことが、古くから存在した由緒ある畑であることを証明します。
1970年代にはポンソやデュジャック、1980年代にはユベール・リニエらにより世界的に評価が上がり、更に1995年以降、クロ・ド・タールの革新やスター醸造家の出現によりここ30年でコート・ドールでも最も注目の村となりました。
「ドメーヌ・デュジャック」「ジョルジュ・リニエ」「ポンソ」等、並外れたクロ・サン・ドニの名門ドメーヌのどこにコンタクトしてノエラがこのグラン・クリュを仕込んだかを想像しながら飲むのも楽しみの一つです。
2001年のモレ・サン・ドニは、1996年や1990年のような素晴らしいピノノワールが育った当たり年。長期熟成向きの素晴らしいグラン・クリュです。
5つのグラン・クリュが位置するのは、ブドウを成熟させるための最良の条件が揃った東向きの斜面。標高280~300mあたり、村を横断する斜面の上に位置しており、ジュヴレ・シャンベルタンのように濃厚で深く強い、固く引き締まったワインが生み出されます。
その典型がクロ・サン・ドニで、その優れた熟成ポテンシャルは極上のシャンベルタンと肩を並べます。古くから『モレ・サン・ドニのワインは完全無欠。』と評された所以です。
クロ・サン・ドニCLOS SAINT DENISの名前の由来は、3世紀のパリの司教ディオニュシウス(別名で聖ドニ、またはサン・ドニ)からきています。
畑の総面積は、僅か6.62ヘクタール。土壌はジュラ紀中期の石灰質と粘土石灰質。肉感的で華やかな香り、開放的でエレガント、洗練の極みとも言える極上ワインです。
全体のワインの水準が非常に高いこともモレ・サン・ドニの大きな魅力。
ブルゴーニュに馴染みのない方にとっても、クロ・サン・ドニは的を外す心配のない選択肢でしょう。