『「邪馬台国」はなかった』につづく鮮烈な巨弾!
前二世紀から七世紀まで、倭国と呼ばれ、中国と通好していたのは、
卑弥呼をふくむ連綿たる九州王朝だった。それは近畿の天皇家に先在した!
数々の古代史の矛盾と謎がここで明快に解きほぐされた。
ユニークな視点と細密な論証が鋭く歴史の書換えを迫る…。
私の古代探求の旅は、『三国志』からはじまった。その中の魏志倭人伝に書かれている「邪馬壹(やまい)国」。卑弥呼の君臨したこの女王国は、九州北岸の博多湾頭にのぞんで存在していた。
朝鮮海峡の両岸にまたがった海峡国家、太平洋の西端に位置した航海王国。このような性格を持った女王国は、どの様に誕生し、いつ消え去って行ったのであろうか。
この問いは当然生まれるはずだ。この問いに答えることを、わたしはみずからの課題とした。その回答、「邪馬壹(やまい)国」の過去とゆくえ。それがこの本の主題である。
この探求の旅の中で、私にとって一番大切なこと、それは学者にならず、専門家にならず、いつも愚かな一人の素人として求め続けることだった。ために、いかなる「定説」にも、甘んじて腰を下ろすことができなかったのである。
そして私は今、深い満足をもってこの本を読者一人一人の前に置こう。たとえ多くの識者たちの嘲弄をうけようとも、憂うことはない。
なぜなら、わたしは、ただ論理の導くところに赴き、この驚くべき地点にたどり着いたのであるから。
【著者紹介】***古田武彦(ふるた・たけひこ)***
1926年福島県に生まれる。48年東北大学法学部(日本思想史科)卒。
高校教師を経て、現在研究に専念。
〈論文〉
「親鸞の歴史的個性の比較史的考察」
「邪馬台国」(史学雑誌 78-9)
「邪馬台国の諸問題――尼崎・牧氏に答う」(史林 55-6)
「好太王碑文『改削』説の批判」(史学雑誌 82-8)
〈著書〉
『親鸞――人と思想』(清水書院)
『「邪馬台国」はなかった』(朝日新聞社)
『親鸞思想の研究〈仮題〉』(近刊・冨山房)
出版社 : 朝日新聞社 (1983/3/1)
発売日 : 1973/8/8 第1刷発行
単行本 : 566ページ
梱包サイズ: 19.3 x 14.0x 3.3 cm