● ブラームス/シェーンベルク編:ピアノ四重奏曲第1番ト短調 Op.25
● シェーンベルク:映画の一場面への伴奏音楽 Op.34
● シェーンベルク:室内交響曲第1番 Op.9b(管弦楽版)
若い頃から近現代音楽を得意とするラトルは、シェーンベルクの作品もよくとりあげており、当アルバム収録曲中でもピアノ四重奏曲第1番と室内交響曲第1番にはそれぞれ旧録音が存在します。
現在では人気レパートリーとなったシェーンベルク編曲によるブラームスのピアノ四重奏曲第1番ですが、この編曲作業をシェーンベルクに薦め、初演したのはかのクレンペラーでした。
当時はヨーロッパでは演奏されることはほとんどなかったこの編曲ですが、クレンペラーは素晴らしい響きであると褒め称え、原曲以上に美しいと絶賛していました。現在の人気を予言するような高評価ですが、ラトルは今から37年前にこの曲を録音しており、さらにベルリン・フィルとのコンサートでも演奏してDVD化もされていたというお気に入りの作品でもありました。
ブラームスの濃密なメロディの美しさとシェーンベルクの雄弁をきわめたオーケストレーションの魅力が相互に作用しあった希有な編曲作品で、最後のチャールダーシュも実に気分爽快な音楽です。
2曲目の『映画の一場面への伴奏音楽』もクレンペラーにより初演された作品です。1930年におこなわれた初演は、少し前のフルトヴェングラーによる『管弦楽のための変奏曲』初演やシュタインベルクによる『今日から明日へ』の不成功とは裏腹に、聴衆から熱狂的な歓迎を受けるほどの大成功を収めています。同じ12音技法を用いて書かれた作品ながら、前2作とは対照的な成功を収めたことをシェーンベルク自身不思議がっていたということですが、それぞれのコンサートの聴衆の傾向の違いを考えれば納得できる話なのかもしれません。
ラトルのこの作品の録音は初めてですが、聴かせ上手なアプローチには定評のあるラトルゆえ、作品の面白さ創出についても期待がかかるところです。
3曲目の室内交響曲第1番はクレンペラーが米国初演をおこなった作品。交響曲史上の異端として知られる15のソロ楽器のための小編成ぶりでも知られており、ラトルは1993年にバーミンガム現代音楽グループを指揮してEMIに録音してもいました。
しかし今回の再録音でとりあげたのは、そのヴァージョンではなく、8年後に通常のオーケストラ用に編成が拡大されたヴァージョンなので、前回とは大きく異なる作品の姿を楽しむことができるものと思われます。(HMV)
録音:in concert: 30-31.X & 5-7.XI.2009, Philharmonie, Berlin