【製品について】
ドイツ RFT 社(戦後、SiemensやTelefunkenなどの自国内の設備や技術者を受け継ぎ、その高い技術力で音響業務用の機材を数多く手がけてきた東独の国策企業連合体。)のハイファイ・コンパクト・システム B 9105。
このHiFi Kompakt Box B 9105はRFT傘下の幾つかのメーカーによって製造・販売されていましたが、出品のB 9105は前面グリルの形状からして、VEB(Elektroakustik Leipzig)の製造と思われます。(VEBの8インチ2wayシステムに同様の前面グリルが使われています。)1960年代前半の製品。Pairでの出品になります。
13cmフルレンジ1本が組み込まれたシンプルな小型システムですが、大変評価の高いL2301 前期型が搭載されていることからもわかりますように、侮れない実力をもっています。
エンクロージャーは、オーソドックスな小型密閉箱ですが、良材が使われ、作りも大変丁寧で、表面もツキ板仕上げになっています。
前面は、薄いクロスの上に、金属メッシュのカバーが取り付けられています。
また、内部のケーブルもしっかりと固定されています。(RFTのユニットは取り付け端子が弱いため、必要な対策です。)
中でも驚いたのは、画像にもありますように、ユニットに防塵カバーが付けられています。(このカバーは、背圧がかかることで、音質にも影響を与えています。)高級仕様のB 9105は、これまで幾つか見てきましたが、防塵カバーまで使ったシステムは初めてでした。
仕上げの丁寧さが音質の面でも現れ、L2301を搭載したシステムとしては、これまでの経験の中で間違いなくトップ・クラス。
音質に関しては、自信をもってお薦めできるシステムです。
搭載のL2301は、13cmサイズのHiFiフルレンジとして、日本はもちろん現地でも高く評価されているユニットです。
中でも、搭載の前期型は、これまた著名な Schulz KSP130が製造中止になった後、Heli K12 Studio Monitor に代わって採用されたほどの優秀なユニットです。
後期型は、レンジの広さや反応速度の速さなど、よりHi-Fi系のユニットになっており、これはこれで評価できますが、前期型は、よりアナログ・ライクな充実した中域の深い味わいがとても魅力的なユニットになっています。
なお、両者は、センター・キャップの形状(前期型はキャップの中央に丸穴が開けられ、そこにメッシュ状のクロスが貼られています。)やコーン紙の材質、特にサブ・コーンの材質や形状(前期型は外縁部が外側にロールしています。)の違いなどから区別できます。
音の傾向としては、スタジオ・モニターとしても使われていたことから伺えるように、明晰で、スピード感のある音です。
ただ、その一方で、前期型の特色で、音楽性が豊かで、音楽を心から愉しませてくれます。
クラッシックやジャズなど、ジャンルを問わず、高いレベルで対応してくれます。
小型システムとしての限界は当然あるのでしょうが、聞き手に十分な満足感を与えてくれるシステムの1つだといえると思います。
ピアノの華やかでいて芯のある響き、弦のシルキーな響き、いずれも魅力的です。
およその大きさは、横幅22.25cm、高さ32.25cm、奥行き14cmになります。
【商品の状態について】
<エンクロージャーについて>
○ さすがに半世紀ほど前の製品ですので、使用に伴う傷は幾つか見受けられます。
特に、1カ所、1.5cmほどの当て傷がありますが、ここだけはボンドで補修して固めています。(上質なツキ板の効果で、傷はさほど目立たないとは思いますが、新品同様の品をお探しの方は、入札をお控えください。)
○ 裏側バッフルが取り外せる構造で、フロント・グリルは取り外すことはできません。
○ スピーカー・ケーブルは直出しで、長さも短かったため、バナナ・プラグも使える新しいタイプのターミナルを当方で取り付けました。
<ユニットについて>
○ キャビネットに納められたままの状態だったようで、ユニットの状態はとても良好で、コーン紙やセンター・キャップ等に傷みはありません。(清掃も兼ねて外した折に観察してあります。)
〇 DCRは揃っており(公称インピーダンスは6Ω。4Ωの扱いでよいと思います。)、音圧差も、通常の使用で問題のない範囲に収まっています。