1926年島根県生まれ、画家・装丁家・絵本作家、淡い色彩と繊細なタッチで大人の読者を中心に人気を得る、50年「ABCの本」で芸術選奨新人賞、ケイト-グリーナウェー賞特別賞、52年「あいうえおの本」でブラチスラバ世界絵本原画展金のリンゴ賞、59年国際アンデルセン賞画家賞、科学や文学への造詣も深く多彩な題材を誇り、エッセイ、装丁の分野でも活躍、平成20年菊池寛賞、24年文化功労者、代表作は「ふしぎなえ」「旅の絵本」「算私語録」など

島根県出身の安野光雅は、その独特な淡色使いと繊細な筆触で知られ、幅広い年齢層から支持を受けています。彼の表現は、科学や文学への深い理解という広範な知識に裏打ちされており、エッセイや装丁の分野でも活躍しています。この水彩画は、その特徴を色濃く反映しており、彼の数々の受賞歴を物語る芸術性の高さを示しています。

安野光雅のオリジナル水彩作品。
この作品は、日本を代表する画家であり絵本作家の安野光雅によるものです。
この風景画は、安野光雅の典型的なスタイルを見ることができる一例です。山々が重なり合いながら遠くまで広がる様子、手前に配置された針葉樹の集団、そして開けた地にちりばめられた家々は、日本のどこかの田舎町を思わせる静謐な雰囲気を醸し出しています。彼の作品にはしばしば、自然と人間が調和した生活が描かれ、その中に暮らす人々の平和な日常が感じられます。受賞作「ABCの本」や「あいうえおの本」、そして国際的な称賛を集めた「ふしぎなえ」「旅の絵本」「算私語録」など、彼の代表作と共鳴するこの絵は、安野光雅の作品世界への入り口とも言えるでしょう。

安野光雅が受賞した国際アンデルセン賞画家賞や文化功労者の称号は、彼の作品がただ美しいだけでなく、深い教養と独創性を兼ね備えていることを示しています。この絵からは、その静かな力強さが感じ取れます。細部にわたる緻密な観察と、それを優しく、しかし確かな筆致で描き出す安野光雅の技術は、見る者にとって、忘れがたい印象を残すことでしょう。貴重な画伯のオリジナル作品、山辺風景の名画です。