
文庫です。 きれいなほうです。
「西郷どん」の時代考証者が、あまたの西郷論を総ざらい!
とらえにくい存在なのに、なぜ敬愛され続けるのか。その謎に迫る。
「維新の三傑」でありながら、西南戦争を引き起こした賊軍の首魁。
にもかかわらず、国民の間では圧倒的な人気を誇る。
武士にして思想家、軍略家にして温情の人、農本主義者にして詩人でもあった。
西郷隆盛ほど捉えにくい人物はいない。だからこそ、さまざまな西郷論が語られ続けてきた。
その変遷はまた、時代を映す鏡でもある。同時代人の証言から、小説における描かれ方まで
――西郷の「語られ方」を総点検し、その実像と「西郷をめぐる歴史」を浮き彫りにする。
〈同時代人の西郷評〉
勝海舟「大抵の者が、知らず識らず使われてしまう」
坂本龍馬「馬鹿なら大馬鹿で、利口なら大利口だろう」
中岡慎太郎「常に寡言。言葉を発すれば肺腑を貫く」
板垣退助「策略を好まなかったから、乗じられてしまった」
大久保利通「禅が西郷を思わぬところへ連れ去った」
木戸孝允「大業を成し遂げたが、時勢を知らなかった」
福沢諭吉「天下の人物。受け入れる余地はなかったのか」
〈目次より〉
第一章 同時代の人に、どう語られてきたか
――「功臣にして賊臣」「大人物だが不可解」
第二章 家族・親族に、どう語られてきたか
――上野の銅像を見て嘆じた糸夫人の真意
第三章 明治の新聞・庶民に、どう語られてきたか
――賊臣でありながら錦絵や歌舞伎でも人気
第四章 明治の知識人に、どう語られてきたか
――「天下の人物である」とその死を惜しんだ福沢諭吉
第五章 異国の人間に、どう語られてきたか
――同時代の報告から「詩人西郷」に着目した最新研究まで
第六章 大正から昭和へ、どう語られてきたか
――「明治」を清算するための人物解剖
第七章 右派・左派思想家に、どう語られてきたか
――頭山満・北一輝らの崇拝と左派知識人からの敬遠
第八章 戦前・戦後の庶民に、どう語られてきたか
――語り継がれた伝説と教科書の記述の変遷
第九章 現代の作家・思想家に、どう語られてきたか
――海音寺潮五郎から司馬遼太郎・三島由紀夫・江藤淳まで
第十章 映画・ドラマで、どう語られてきたか
――「翔ぶが如く」「ラストサムライ」そして「西郷どん」へ
〈著者について〉
原口泉(はらぐち・いずみ)
1947(昭和22)年、鹿児島県生まれ。米国ネブラスカ州立大附属ハイスクール、
鹿児島県立甲南高校、東京大学文学部国史学科卒。同大学院修士課程修了、
博士課程単位取得。鹿児島大学法文学部教授を経て、現在、同大学名誉教授、
志學館大学教授、鹿児島県立図書館館長。専門は日本近世・近代史、薩摩藩の歴史。
NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」「琉球の風」「篤姫」「西郷どん」の時代考証を担当。
『世界危機をチャンスに変えた幕末維新の知恵』『龍馬を超えた男 小松帯刀』
『西郷どんとよばれた男』など著書多数。