Dallapiccola / Maderna Three Questions With Two Answers / Aura / ITL 70044 / 1978年 Italia原盤 / BBC響 & Pesk / Modern Classical / EX
基本情報|Release Information
問いと応答のあいだ、静寂と暴力のあいだ、1977年ロンドンの空気が焼き付けられた記録。
レーベル:Italia (Fonit Cetra系列)
品番:ITL 70044
フォーマット:LP(ステレオ)
国:Italy
リリース年:1978年
タグ:Modern, Serialism, Italy, BBC Symphony Orchestra, Avant-garde, 1970s
作品の解読|Decoding the Work
このレコードは単なる録音物ではない。それは、イタリア戦後音楽が誇る二つの磁場——ルイジ・ダッラピッコラとブルーノ・マデルナ——が、BBC交響楽団とゾルターン・ペシュコーという欧州モダニズムの中枢と交差した一夜の痕跡である。しかも、ダッラピッコラの《Three Questions With Two Answers》(1962)は1977年7月9日、ロンドンでのヨーロッパ初演のライヴ録音を収めており、その意味でこのレコードは、記録であると同時に一つの歴史的事件である。
ダッラピッコラは、十二音技法を用いながらも常に抒情性を諦めなかった作曲家である。この五楽章形式の作品においても、「Sostenutissimo」や「Molto sostenuto」といった記譜が示すように、音は沈黙と接続され、緊張を孕んだ問いとして発される。ペシュコーはこの複雑な構造を丹念に読み解き、BBC響の層を徹底的にコントロールしている。
対する面Bには、1972年作のマデルナ《Aura》が収録される。タイトル通り、「存在の気配」「不可視の現象」としてのオーケストラ。マデルナの後期作品群に特有の、音響の即興的生成を擬似的に譜面化したようなテクスチャーが、16分にわたって蠢き、空間を測定するかのように展開する。ペシュコーの指揮はここでも精緻かつ暴力的で、録音エンジニア陣(パオロ・デリ、トーマス・ガリア)によるTelcomシステムでの収録が、その空間性を見事にとらえている。
ジャケットはHelmut Ebnetのデザインによるミニマルな図形構成。イタリア国営のFonit CetraによるSuvini Zerboniとの共同制作という点も、当時の国内モダニズム政策との制度的連動を物語る重要なコンテクストだ。
この1枚は、DallapiccolaとMadernaのポスト戦後的倫理と形式の臨界点、さらにイタリア音楽が英語圏に到達する過程そのものを刻んだ、貴重なドキュメントである。
状態詳細|Condition Overview
メディア:EX(良好な再生状態)
スリーブ:EX(軽度のスレ・経年ヤケ、全体良好)
支払と配送|Payment & Shipping
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