バンドは2014年にドイツ南西部の都市、シュトゥットガルトで結成された。結成当初は“BREAK DOWN A VENUE”と名乗っていたが、後に現在のバンド名“VENUES(ヴェニューズ)”と名乗るようになる。影響を受けたバンドは、PARKWAY DRIVE、ADEPT、SILVERSTEIN、FUNERAL FOR A FRIEND、UNDEROATH、 ARCHITECTS、VANNAなどを挙げている。まだ短いキャリアの中でバンドはESKIMO CALLBOY, CALLEJON, DEEZ NUTS、CALIBAN、ATTILAなどと共演を果たすなど、順調にキャリアを積み重ねている。
今作『Aspire』は、ドイツの新勢力Arising Empireからのリリースとなる。Arising Empireはヨーロッパ最大級のインディ・レーベルNuclear Blastのサブ・レーベルという位置付けで、本家とは異なるジャンルのアーティストを所属させている。現在Arising Empireに所属しているアーティストは、先日来日を果たしたALAZKA、ANY GIVEN DAY、IMMINENCE、NOVELISTS、TO THE RATS AND WOLVES、WHILE SHE SLEEPSなど個性的で実力を持ったバンドばかりである。蛇足だが、男性ヴォーカリストのロビンはNuclear BlastのA&Rという肩書も持っている。
ヴェニューズ最大の武器は、ロビンとナイヴスによる個性的な男女のツイン・ヴォーカル体制だろう。今作で聴ける2人のヴォーカルは、2015年7月にリリースされた3曲入りのEP『Break Down A Venue』の頃とは比べ物にならないくらい自信に満ち溢れている。「The Longing」ではナイヴスがヘイリー・ウィリアムス(PARAMORE)を彷彿させる歌声で楽曲を牽引している。
成長を感じるのはヴォーカルだけではない、今作には「We Are One」をはじめとするエモーショナルでアンセミックな楽曲が並び、デビュー作とはおもえない完成度を誇る。ロビンは、エネルギーに満ちたアルバム・オープニング曲「We Are One」について、「いま、俺たちはソーシャル・メディアのおかげで世界中の誰とでも繋がることができるようになった。でも皮肉なことに、以前よりも孤独を強く感じてしまうこともある。“We Are One”に込めたメッセージは、そんな人たちに目を覚ましてもらうウェイク・アップ・コールなんだ。あなたは決して孤独なんかじゃない、問題を抱えて怖れを感じているのは、あなただけじゃない。そんな人たちに団結を呼びかけるメッセージが込められているんだ」。
ポスト・ハードコア/メタルコア・ファンのみならず、幅広いロックファンにアピールできる魅力を備えたバンド=ヴェニューズ。この夏は本国ドイツのディンケルスビュールで開催されるメタルフェス、Summer Breeze Open Air 2018への出演も決定している。また、今作はヨーロッパではARISING EMPIRE、そしてアメリカではSHARPTONE RECORDSからのリリースとなることからアメリカでの活躍も期待されている。