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岩波文庫
①星番号：3534-3536（赤893）、3537-3539（赤894）、3540-3542（赤895）
②作者：アレッサンドロ・マンゾーニ
③訳者：フェデリコ・バルバロ、尾方寿恵
④発行日：
　　　　　（上）1973年1月16日　第4刷（1946年12月10日　第1刷）308頁
　　　　　（中）1973年2月16日　第5刷（1947年12月20日　第1刷）306頁
　　　　　（下）1973年3月16日　第4刷（1949年 7月25日　第1刷）278頁
⑤装丁：帯あり、パラフィンあり
⑥状態：普通（50年前のものとしては綺麗な部類）　蔵書印なし、書き込みなし
⑦コメント：1973年に改訳したものの初刷。入手困難。
　本書の作者マンゾーニはダンテともならび称されるイタリアの国民的作家である。ここにはカトリック回心後の生涯のすべてが注ぎこまれている。１７世紀、スペイン支配下のロンバルディアを舞台に頽廃した世相とさまざまな悪に脅かされながらも、愛と信仰の心を守り通す若い２人とそれを取りまく人びとを描く。マンゾーニの純粋な宗教精神が光を放つ作品である。
　 新型コロナウイルスの流行で休校になったイタリア北部ミラノの高校の校長先生が『理性と人間性を働かせなければ、われわれは"ペスト"に負けしてしまう』と生徒に送った手紙が感動を呼んだが、この手紙は本書『婚約者』からの引用である。『婚約者』に描かれているペストによる社会の混乱の様子が、今回のコロナ禍によって引き起こされている状況によく似ているからであろう。河出文庫版は復刊されたが、この岩波文庫版は長らく品切れが続いており入手困難である。