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百万遍　青の時代下巻　花村萬月


俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。太郎は乱暴だが、たまらなく魅力的な男だった。同じように、俺に気をかけてくれる夏子さんは、組長の女。決して手を触れてはならない存在だ。だが俺は、夏子の美しさに出会った頃から焦がれており、そして――。青春小説の歴史を塗り変えた傑作長篇。

レビューより
花村ファンならば、楽しめる一冊だと思います。波瀾万丈な人生ですね。


ノロノロと読み始めたがこれは大当たり。三島由紀夫をたいしてしらないのに、まるで自分であるかのようになぞらえて高校をやめてしまう主人公。その後の生活は余りにも波乱万丈である。平成生まれの私に、もっとも近いようで遠い日本の気概を見せてくれた小説であり、本当に出会えてよかった。衝動で生きる人に揉まれ影響される中生きていくことの儚さ。出てくる女の魅力。阿部や岩尾のようなこだわりの強い人間の存在、憧れる。続きが読みたいが、あるのだろうか、、、


「細部に神が宿る」とは誰の言葉だったか。ディティールの正確さ、多様さ、大量さ、７０年代の空気を若い肺に吸い込んだ同時代の人間として証言する、驚嘆の著作である。ヤクザの組事務所から、彫りもの師の世界へ、怒涛の細部描写、飛び交う隠語でリアリティを確保。無軌道な青春を描いているだけでなく、なにものかが、惟朔の中で孕んで大きく育っている。それは京都で生み落されるのだろうか。桁外れの青春小説にあなたは馬乗りにされ、魂の彫師花村萬月に青を刺されるのだ。