臨書纂次 第四巻 チョ遂良 猪遂良 枯樹賦 青木香流 臨書 作品集 書道手本 解説 釈文 書き下し文 書法 筆法
不二出版
百瀬大蕪 編
平成6年初版
160ページ
約35x26x2.3cm
書家、青木香流が残した臨書の中で、特に愛着をもって習ってきたチョ遂良の「枯樹賦」。
五十代前半の油が乗り始めた頃の臨書折帖を、大判の書籍に再編したもの。
臨書を縮小、原本に従ってつなぎ合わせた部分と、4文字ずつ大きく見やすいA4サイズに収めた書道手本。
大判本のため、細い線、細かい部分までよく見ることができます。
巻末に、枯木賦の解説、枯木賦に見るチョ遂良の筆法を、王羲之の蘭亭序と似ている拓本の字を取り上げ対比して細かく分析、初心者が枯木賦を臨書する上で大切なポイント、さらに青木香流の臨書と、拓本の文字との対比を見ていき、チョ遂良の評伝、年表と唐時代の地図などの資料なども付した、大変貴重な資料本です。
【目次】
発刊にあたり 藤森雨迹 書燈社顧問
枯木賦解説
枯木賦に見るチョ遂良の筆法
香流臨書と枯木賦
チョ遂良の生涯とその周辺
年表・唐時代の中国地図
あとがき
青木香流略年表
【「臨書纂次」発刊にあたり 藤森雨迹 】より一部紹介
前回、好評の「王羲之行書尺牘八種」「集字聖教序」に引き続き香流先生が残された臨書の中で、特に愛着をもって習われたチョ遂良の「枯樹賦」を発刊することになり、まことによろこばしい次第であります。この臨書は、百瀬大蕪君に与えられたもので、先生の五十代前半の丁度、油が乗り始めた頃のものです。この頃、先生は私の教室へ月に一、二回横浜から稽古にお出でなられ、多摩の古い門人たちにご指導された折、臨書されたものの折帖の一つです。
(中略)
この枯樹賦の臨書にしても、常日頃、師の手島右卿先生を深く尊敬し、心から慕っておられながら、自己の書風の確定を求めて、日夜苦悩されておられたことを、側でお仕えした一人として、窺い知ることができます。
兎角、「書」を学んでいるものは、私を始めとして、師の書風の表面に現われたものだけを金科玉条とし、自己を捨て楽な物真似に終始しているのに比べて、先生のこの「枯樹賦」の臨書の偉大さを、今更ながら強く心に感じております。
チョ遂良の人物像や、この天才の生れた歴史的な背景などは割愛させていただき、古典の臨書中もっとも難しいものの一つと言われている「緒法」の勉強を、今回発刊の「臨書纂次」を取り敢えずは座右に備え、大いに研究の参考にされますようお薦めいたします。