ジャムの雰囲気を伝えて絶大な影響力を誇ったアルバム『Super Session』をライヴで再現しようという試みは無謀だった。これまで未発表だった本作には、音程がおかしかったりチューンの調子が外れていたりする箇所が当然ながら結構ある。リズム・セクションは不安定だし、サイモン&ガーファンクルの「59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)」からエルヴィスのナンバーとして知られる「That's All Right Mama」までが入ったレパートリーも何だか変だ。それに、リーダーのひとりであるアル・クーパーは有能なミュージシャンだが、ここではインスピレーションにとぼしい。
しかし、ギタリストのマイケル・ブルームフィールドはむらのない美演で、見事なブルースの技法は、それだけで買う価値ありだ。B.B.キングの「It's My Own Fault」で、当時無名だったジョニー・ウィンターがブルームフィールドとグループに加わると、がぜん演奏が白熱してくる。ウィンターとブルームフィールドは、11分近くにわたってディープなブルースを奏でる。ウィンターは、この曲を長年テキサスのステージで主要レパートリーとしてきただけに、ヴォーカルやひらめくようなフレージングでオーディエンスを湧かせるのだ。
残りのトラックについては、これほどのエネルギーと興奮が感じられないが、やはりブルームフィールドのギターが聴かせてくれる。全体的に見ると、本作より数か月前にレコーディングされた『The Live Adventures of Mike Bloomfield & Al Kooper』の方が、ウィンターが参加していないにもかかわらず、このバンドのライヴ・アルバムとしては上出来といえるだろう。(Michael Point, Amazon.com)