カラークラシックを640x480表示に高解像度化した上で5XXX/6XXXなどのPowerPC603搭載ロジックボードを格納したものを書籍「DOPING MAC」ではTakkyと呼んでいましたが、その中でもデータバスの幅が64ビットである54XX/64XX系のPCI搭載ロジックボート（AlchemyやGazelle）を用いる改造は最も難易度が高いとされて来ました。
発売されて四半世紀が経過するカラクラシリーズは現存する個体であってもアナログボードの疲弊が進んでおりこれらの大きな消費電力増加を伴う改造に耐えられるものは少なくなっています。
「DOPING MAC」では少しでもアナログ回路の負担を減らすべくペリフェラルであるHDDのために補助電源を搭載する道が提示されていましたがその効果は微々たるものでしかありません。
本機は今日的な性能の補助電源によって消費電力の大きいロジックボードそのものを駆動し、既存のアナログボードには画面表示に専念させることで（正確には他にも多少の負荷があります）老朽化したカラクラへの54XX系ロジックボード組み込みを実現したプロトタイプです。
（2024年 9月 17日 23時 18分 追加）プロトタイプとしている理由についてご説明します。
１．出品時点で搭載するボード類が決まっていなかった
考えた結果、消費電力を抑えた方が良いとの判断で、ロジックボードは手持ちの中でバスクロックが低めのPerforma5430の物（Alchemy 160MHz）メモリは32MB+32MBを積んでオンボードの8MBと合わせて72MBと致したく思います。
その他の拡張スロット（キャッシュ、AV、PCI、CS2）は何も挿さずに空いた状態にします。
これらが未定にも関わらずたくさんのビューを頂いておりますので皆さんのご関心は実用性よりも改造そのものにおありなのか、もしくはそうしたパーツ類を保有・調達出来る方が多いのではないかと考えました。
２．現状動作しているがいつ動かなくなるか予測できない
素体として使用したカラクラは「DOPING MAC」に沿った通常の改造ではもはや画面が映らないレベルに疲弊したものです。映らなくなればその時点で放置されるでしょうから同じ劣化レベルの個体をお持ちの方（＝ニーズ）が多いのではないかと考えたこと、映らない物が映るようになるなら効果が確実で現状問題の無いカラクラの延命にも有効と判断できること、そもそもこの改造がダメ元で始められたことなどによります。
結果、画面は表示できるようになりましたが若干のチラつきや揺らぎが残ってしまいました。個人的にはテキストベースの作業であれば忍容範囲内とも思いますが判断には個人差があると思います。動画再生などをした場合はストレスになるかも知れません。
同じ理由により明度とコントラストや出来れば色温度を低めに設定しておかないと怖い、ご自分で調整出来る方であれば許せるギリギリまで画面幅を狭めて頂きたいなど、動作保証面では明確な目安をお示し出来ない問題を抱えています。
３．対処可能だが原因を検証できていない不具合がある
電源ケーブルを抜く、背面の電源スイッチをオフにするなどの状態が長時間続いた後は電源投入直後にうまく起動しない事があります。数回繰り返して起動を試みる事でも起動しますし背面の電源を常時オンにしておけば普通に起動しますが原因が分かっていません。
またこれは使用しているロジックボードの問題かも知れませんが、たまに起動後にADB機器を見失っていたり二本挿しているメモリのうち一本を半分しか認識しないと言う事も起きます。ADB機器の問題は起動し直せばほぼ解消します。メモリは挿し直しが必要な場合もあります。
４．それでも出品する理由
私自身が「クララが立った」（カラクラだけに・・・失礼）ことに満足してしまっている部分があり、一旦作業に区切りを付ける意味で手放す事を考えました。今後これと言った改善が出来ずに同じものを作るにしてもこれ以上やる意味があるのか、一度世間の評価（関心）を見てみたいと言うのが正直な気持ちです。
その意味もあってお値段は高く設定していますが
・たぶん世界初であって私が黙って撤退したら唯一の個体となるであろう稀少性
・ジャンクのカラクラに改造の手を入れる事で最高性能で運用できるように直せるかも知れないと言うロマン
（Alchemy以上のロジックボードを使えればSonnetのG3カードなども使える可能性は高いですし）
・改造の出来る方なら研究解析対象としての価値
（そしてもし私が独力で解決できない問題に取り組んで頂ければとても嬉しいです）
・アナログ回路がまだ元気な高解像度カラクラにインナーフレームごと移植すれば「多分」問題無く使える
（保証・推奨するわけではありません）
・そもそもここに至るまでの投資は全く回収できないレベル
（カラクラ本体、ロジックボード、630コネクタ、5V DIMMなど随分オシャカにしました
PCI用の+3.3V生成回路もいま作るとなるとなかなか面倒です）
等の事情によるものですので事情をご賢察頂ければ幸いです。
５．もし界隈で認知される存在になるなら・・・
本改造のベースはTakkyですが今のように単に「Takky改」と称しても改良の方向性はいろいろあると思います。
その中で「増設した補助電源でロジックボードを動かす」改造品を「Dacky」と呼んで頂けると幸いです。
個人的に「タッキー」に毛が生えた改造と言う事で「ダッキー」と呼んでいました。
綴りは「他人のズボンをおろす」と言う俗語に由来します。カラクラの大事な所を改造しちゃったぞ、と言うニュアンスです。
まあ、戯言として忘れ去られるならそれも仕方ありません。
（2024年 9月 18日 0時 10分 追加）HDDは入手性の観点からSCSIを撤去してIDEを使っています。
今のところ容量9GB程度で動作確認用の0S8.6をインストールした物を載せてお渡しする予定です。
また既にお察しと思いますがマウスとキーボードは付きません。
電源ケーブルは手持ちはあるのですが入れ忘れそうなので必要な方は落札後にコメントをお願いいたします。
MysticやTakkyの常としてロジックボード部分のリアパネルもありません（後部筐体はちゃんと付けます）。
工作精度がそこそこ良かったのか後部筐体を外さなくてもロジックボードを抜き差しする事が出来ます。
（2024年 9月 18日 3時 23分 追加）フロントパネルの音量とコントラストの調整ボタンは機能します。
何らかの方針転換で6410のロジックボードを載せる事になるとコントラストボタンは飾りになります。
（64XXはモニタ一体型ではないため画面調整の機能が省略されている事によります）
FDDは壊れていますが本来の状態が分かるように載せておきます。
（2024年 9月 21日 2時 50分 追加）作業中、頻繁に組んだりばらしたりする必要があったのでインナーフレームとフロントベゼルを固定する四本の爪のうち一本を折ってあります。後部筐体を外した時にはなるべくインナーフレームを保持するように心掛けた方が良いですが、爪とは別に二本の心棒でも固定されていますので強度的に不安は無いと思います。
ロジックボードには本来付いていないはずのCPUクーラーが載ってます。たぶんクロックアップを試みて元に戻した名残と思われますので（水晶発信子にハンダ付けの形跡があります）各自のご判断で撤去して頂いても問題無いと思います。
また内蔵電池は本来4.5Vのアルカリ乾電池ですが入手性が極めて悪いため、汎用の3Vコイン電池（CR-2032）で動作に問題が無い事を確認した上で電池ホルダを装着してあります。寿命的にはやや不利なのかも知れませんが電源を切らなければそう減るものでもありませんし交換は簡単です。
送料につきましてはまだ梱包いたしておりませんので考えられる上限でお願いしております。
差額が発生致しましても返金は出来ませんがご容赦下さい。
◆重要◆
既に記しておりますように現状動いているものの何がきっかけで動作しなくなるか分からない状態のものですので、モノとしてはジャンク以下であって価値があるのは設計であるとのご認識に立っていただきたいと思います。仮にお手元に届いた時に満足に動作しない状態であっても基本的に返品返金には応じませんが、そうは言っても金額が金額ですので、当方で配達の完了を確認してから24時間以内にお申し出があり、なおかつ返送の送料をご負担いただける場合に限りましては「筐体を開けていない事」を条件に返金の対応をさせて頂きます。
ご了解の上でご入札下さい。
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