ヴォン・ボンディーズの『Lack of Communication』は、またしても現れた、原石の輝きを持つガレージ・パンク・アルバムだ。ジョン・スペンサーからストロークスへと至り、ホワイト・ストライプスに回帰する線をたどって、デトロイトのバーに寄り道しまくれば、途中のどこかでヴォン・ボンディーズと出会うのは必至だろう。デビュー・アルバムは、ブルース、ロックン・ロール、原始的なエネルギー、ガレージ、こみ上げる不安――そういったものに満ちている。フロントマンのジェイソン・ストールスタイマーの雄叫びは力強く、セクシーさ満点。たちまちカルト的な人気を得るに違いない。
楽曲からは彼らの得たインスピレーションがあふれ出してくる。その源は、アルコール(「Nite Train」)、ブラック・ユーモア(「Cass And Henry」)、伝統的なアメリカの風土性(「No Sugar Mama」)などだ。ダートボムズのジム・ダイアモンドがプロデューサーを務めているだけあって、真っ裸のデトロイトを体感できる1枚。(Everett True, Amazon.co.uk)