アボーテッドはベルギー出身のデス・メタル・バンド。95年、現在もフロントマンを務める(そして残っている唯一のオリジナル・メンバーでもある)スヴェン・ド・カルヴェによって結成された。99年に『The Purity of Perversion』でアルバム・デビュー。続けて『Engineering the Dead』(01年)、『Goremageddon: The Saw and the Carnage Done』(03年)、『The Archaic Abattoir』(05年)と3枚のアルバムをリリース。ハイクオリティな作品と積極的なツアーで着実に人気バンドへと成長していったアボーテッドは、大手センチュリー・メディアとの契約を手にする。その後も数年おきにアルバムをリリースし続けたアボーテッドは、現在間違いなくデス・メタル界最重要バンドの一つと言える存在になっている。来日経験もあるので、その圧倒的なステージを体験した人も少なくないだろう。
この度リリースとなるのが、『マニアカルト』と題された11枚目のスタジオ・アルバム。前作『TerrorVision』(18年)で聴かせたテクニカルさと、『La Grande Mascarade』EP(20年)のダークな雰囲気を併せ持った作品だという『マニアカルト』について、スヴェンは「曲のダイナミクスが激増している。エクストリームさを失わずによりダークな雰囲気にした。バンド史上最高速の曲も入っているけれど、グルーヴやキャッチーさは一切失われていない」と大きな自信を覗かせる。確かにアルバムはこの言葉通りの仕上がり。非常にバラエティに富んでおり、退屈する瞬間がまったく無いジェットコースターのようなアルバムだ。デス・メタル・ファンはもちろん、暗い雰囲気はブラック・メタル好きにもアピールすることだろう。