アウレリアは世界初のV6エンジン搭載車として知られる。この60°V6エンジンはヤーノの部下・de Virgilioの設計になるもので、
シリンダーバンクの間に一本のカムシャフトを備えたプッシュロッド型で、半球形燃焼室を備えていた。
当初の排気量は1,800ccであったが、最終型では2,500ccまで拡大された。
もう一つの特色はリアアクスルで、ギアボックス・クラッチ・デファレンシャルが一体化した
トランスアクスルを採用していた。
ブレーキはドラムブレーキのままであったが、インボードにマウントされ、バネ下重量を軽減していた。
フロントサスペンションは1920年代のラムダ以来のスライディングピラー方式、リアはセミトレーリングアーム式サスペンション
であったが4代目にはドディオンアクスルになった。トランスアクスルとドディオンアクスルの組み合わせは、
1970年代のアルファロメオ・アルフェッタと同じであるが、ランチアは20年近く先んじて採用している。
アウレリアは生産時期によってセリエ1から6まで分類される。
セリエ1(1950-1952年)
最初に登場したアウレリアは、B10と呼ばれる ベルリーナであった。排気量1,754ccのV6エンジンの出力は56馬力に過ぎなかった。
翌1951年には1,991cc・70馬力の
B21が追加された。この年、2ドアの
B20GT
クーペも登場した。
短縮されたホイールベースに架装された美しい2ドアクーペボディはカロッツェリア・ギアのデザイン、ピニンファリーナの製造であった。
1,991ccエンジンは75馬力に強化され、進歩的なシャシーにより卓越した運動性能を発揮し、GTカーの規範を確立した。
セリエ2(1952-53年)
クーペのエンジンは圧縮比を上げられバルブの設計も変更され、排気量は1,991ccのまま80馬力を発揮するようになった。
ブレーキの改良、バンパー材質のアルミニウムからクロームメッキされた鉄製への変更、ダッシュボードデザインの刷新も行われた。
ツインキャブレターと専用のカムシャフトで90馬力に強化されたB22ベルリーナも登場した。
セリエ3(1953-54年)
エンジン排気量が2,451ccに拡大され、クーペのテールデザインが変更されてそのスタイリングが完成の域に達した。
セリエ4(1954-55年)
リアサスペンションがドディオンアクスルに変更され、2座オープンモデルのB24スパイダーが登場した。(当モデル)
車体のデザイン・製造はピニンファリーナの手によるもので、GTよりホイールベースが更に203mm短縮されたシャシーを持っていた。
またランチアとして初めて左ハンドル車が生産され、対米輸出もこのシリーズから開始された。
セリエ5(1956-57年)
トランスアクスルのケースが後継のフラミニア同様、分割式に変更されて耐久性が向上し、ドライブシャフトも改良されて
回転による車体の振動が抑制された。クーペの内装は豪華さを増し、スパイダーのウインドウスクリーンはラップアラウンド式から
通常のデザインに改められ、三角窓や巻上げ式のサイドウインドウが与えられ、居住性が向上した。
なおベルリーナの生産は1956年で終了し、クーペとスパイダーのみがセリエ6に発展する。
セリエ6(1957-58年)
エンジンは最高出力をやや抑制してその分最大トルクを増強し、扱いやすさを改善した。クーペには三角窓が付けられ、
クロームのモールディングが追加された。最初の150台を除くスパイダーの燃料タンクは運転席直後からトランク内に移された。
このシリーズを最後にフラミニアに後を譲り、アウレリアの生産は終了となった。