
アンドレ・マルローと現代 ポストヒューマニズム時代の〈希望〉の再生 永井敦子/共編 畑亜弥子/共編 吉澤英樹/共編 吉村和明/共編
1996年にマルローの遺骸がパンテオンに埋葬されてから四半世紀。
「フランスの偉人」としてのこのマルローの聖別は同時に、彼が生きてきた歴史的現実から、彼を決定的に遠ざけてしまったようである。
マルロー生誕120周年のいま、日本とも関係の深かったマルローに再び焦点を当て、その人生と著作の今日的意義を検証する。
20世紀フランスの代表的作家のひとりであり、政治家としても知られるアンドレ・マルロー(1901-1977)。小説から映画製作、芸術論に至るまで、ジャンルを超えた幅広い創作活動を行ったが、その20世紀の象徴ともいえるマルローの著作と活動は、継続的な研究議論の場を持たぬまま今日に至っている。
本書では、日本とフランスの幅広い世代の研究者が、それぞれの専門領域からマルローの著作等を分析・再考し、新しいマルロー像の構築に挑む。
目次
【第一部 文学と政治】
第一章 新しい作家像と文学史の更新
アンドレ・マルローと『文学の新時代』
――両次大戦間における転換期の文学
マルローとセリーヌにおける作家表象
―― 一九二〇~三〇年代を中心に
第二章 ポストコロニアルとフェミニズム
――他者をめぐって
マルロー『人間の条件』における「身体性」
――女性像をめぐって
「文明」という征服者
――『王道』におけるアジアの近代化に向けたマルローの眼差し
バンテアイスレイ事件から『想像の美術館』へ
――アジア考古学史のなかのアンドレ・マルロー
【特別寄稿】A・マルロー盗掘事件と王道の発見
――アンコール遺跡を世界的に有名にした大事件
第三章 ヒューマニズムの危機
一九四四年から一九四九年にかけてのマルロー、大臣にしてド・ゴール主義者
アンドレ・マルローの「悲劇的ヒューマニズム」
『冥府の鏡』におけるモダン都市の表象
【第二部 視覚芸術】
第一章 美術と美術史
プルーストからマルローへ――イメージと時間
マルローと抽象絵画
――フォートリエとの関係をめぐって
第二章 芸術と行動、そして想像の美術館
マルローと世界美術史の構想
アンドレ・マルローと小松清
――行動主義をめぐって
行動の実践としての芸術をめぐる思想
――『神々の変貌』序論の分析
第三章 映画と映画史
可視化されなかったアンドレ・マルロー『人間の条件』
――「終わりなきアダプテーション」の理論に向けて
アンドレ・マルローによる映画
――アンドレ・バザンの『希望 テルエルの山々』解釈をめぐって
美術館の徴のもとに
─―マルロー、ゴダール、マルケルをめぐる三角測量の試み