
Mica Paris Black Angel ミーシャ・パリス
中古盤
日本国内盤
自身の出自・ゴスペルに原点回帰して11年ぶりにアルバムをリリースしたミーシャ・パリス。僕個人は,20年以上,ミーシャの歌声を聴いてなかったので不安もあったのですが,聴いてみるとこれが素晴らしい出来栄え。懐かしさのあまり,昔のアルバムも聴き直してみました。
こちらは,1998年にリリースされた4作目。
不穏な空気が漂うシリアスなイントロ。重苦しい空気を突き破ったのは,スライ&ザ・ファミリー・ストーンのカバー「Stay」。グルーヴィーなベースラインに,煌びやかなシンセサイザー&コーラスで颯爽と歌い始めるミーシャ。脇を固めるホーンがクールでカッコ良いですね。ソリッドなビートで突き進み,サビでは美しいコーラスも従えたドラマティックなサウンドで盛り上がります。このアルバムのハイライトの1つです。
もう1つのハイライトは,終盤の「Baby Angel」から「Ain't No Way」「Sixth Street」までの3曲。「Baby Angel」は,幼児をあやすように歌われる慈愛に満ちたバラード。切ないまでに愛おしく美しいピアノ・バラードです。包容力のある歌声が胸を打ちます。「Ain't No Way」は,アレサ・フランクリンのカバー。ライブ仕立てになっています。ジャジーなホーンで幕を開けますが,全体的にゴスペル・タッチのサウンドはミーシャの出自ともオーバーラップしてマッチしています。穏やかで温もりを感じさせるスローです。「Sixth Street」は,ゆったりとしたビートに乗ってスウィングするミッドテンポ。シンセサイザーによる穏やかで美しいメロディーが優雅で琴線に触れます。
序盤と終盤をハイライトとして取り上げてしまいましたが,中盤は,いかにもR&B通好みの曲が並び,これはこれで聴きどころ満載。
「Let Me Inside」は,ユル~くうねるギターに,メロディアスで優雅なキーボードという対照的なサウンドがソリッドなビートの上で絶妙のバランスを保っているファンキーなナンバー。「Perfect」と「Hate To Love」は,ともに真夜中の街角を思わせるクールでミステリアスなメロディーが印象的。NJSっぽいビートに乗った「Perfect」では,ぜい肉をそぎ落としたようなシンプルな音作りがミーシャのヴォーカルを際立たせています。「Hate To Love」は,ジャズ・ファンクという感じのビートがカッコ良いですね。スティーヴン・シモンズ(Stephen Simmonds)が作曲・プロデュースに関わり,バッキング・ヴォーカルまで務めています。
「I'll Give You More」も,陰のあるメロディーという意味では,「Perfect」や「Hate To Love」に近いのですが,緩やかで優美なメロディーと,時折響くギターのフレーズがメロウネス。
タイトル曲の「Black Angel」は,何と! カルチャー・クラブのボーイ・ジョージが手掛けた曲。アコースティックで穏やかなメロディー,どことなく古き良きゴスペルを思わせる牧歌的な雰囲気さえ漂うナンバーです。
情感あふれるヴォーカルと,ちょっと陰のあるメロディーにクールなビートといったビターで深みのあるサウンドが「大人」な雰囲気のR&Bアルバムです。