【作品概要|Overview】
アーティスト名:山崎ハコ(Hako Yamasaki)
タイトル:The Best Of 山崎ハコ
レーベル/型番:Canyon C20A0322
フォーマット:LP / Stereo / 帯・インサート付属
リリース年:1984年3月
ジャンル/スタイル:Folk Rock, Acoustic, Female Songwriting, Japanese Acid Folk
1984年にCanyonからリリースされた本作『The Best Of 山崎ハコ』は、1970年代後半〜80年代初頭にかけて録音された名曲たちを、ある種の「感情地図」として再構成した1枚です。
フォーク、ロック、叙情歌謡といったジャンルにまたがりつつも、歌声とサウンドの異化によって、“和製アシッド・フォーク”と呼ぶにふさわしい幽玄な音響空間をかたちづくっています。
山崎ハコの歌声は、音域よりも震えと擦過に特徴があり、それが個人の深層に作用する“音の表情”として本作にも刻まれています。
10曲というコンパクトな編成ながら、それぞれの曲が独立した物語のように配されており、アルバム全体として“痛みの形式”の異なるバリエーションを提示しています。
山崎ハコは、1975年のデビュー以降、女性フォークの枠を越えて、「語り得ぬ痛み」の詩学を体現し続けてきました。本作『The Best Of 山崎ハコ』は、いわゆる代表曲集でありながら、決して通俗的なベスト盤ではなく、むしろ“内側の記録集”=声による非公開日誌として機能しています。
特筆すべきは、後年になって彼女の作品が海外を中心に“Japanese Acid Folk / Dark Folk”として再評価される流れの中で、この盤に収録された諸曲もまた、静かな注目を集めている点です。抑制的なアレンジ、寡黙なコード進行、感情の皮膜のような声質。これらは、英国トラッド系アシッドフォークの語法とも交差しながら、日本語と湿度を通してしか表現できない音世界を構築しています。
「飛びます」「綱渡り」「雨に唄えない」などは、フォークでありながら心理劇的、語りでありながら詩的。こうした楽曲たちは、今なお“傷ついた聴覚のシェルター”として機能し得る可能性を持ち、本作はまさにその記録です。
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