廃盤
ベートーヴェン;
交響曲 第9番 『合唱』
ラインスドルフ指揮
1978年 ライヴ
剛速球、トスカニーニ張り! 「指揮者の中の指揮者」ラインスドルフの第9!
「私はラインスドルフに尋ねたことがある。ボストン響常任時代に残したスタジオ録音と同時期に放送された同じ曲目のライヴ演奏の違いがなぜここまであから さまなのかと。彼は雄弁に答えた。演奏家が後世に残る記録としてスタジオ録音する場合に求められることとは『演奏を一回だけ聴く場合には効果的だし輝かし くも聴こえる解釈上の盛上げや強調は、レコードとして繰り返し聴く場合には聴き手を疲れさせる場合もあるのですよ。だからスタジオ録音の時はそういうル バートの量とか、音量の変化、テンポの伸縮なんかを抑えているのです』と」ヘンリー・フォーゲル(元シカゴ響総裁)のライナーノートより。
この回答が表すとおり、巨匠エーリヒ・ラインスドルフ(1912~1993)は演奏会と録音を別に考えていたことが明らかです。それ故に多くのスタジオ 録音が覇気に欠け、真っ当だけれども面白くないという結果になったのでしょう。多くのレパートリーがこうして録音されたために、ラインスドルフの評価は日 本では高いとはいえません。おまけに若い頃は凄かったが、年を取ってから駄目になったなど謂れのない誹謗もあります。
ここに聴くベルリン・ドイツ響(ベルリン放送響)との「第9」は、首席指揮者就任早々(就任記念?)の演奏で厳しい練習が想像できる見事なアンサンブ ル、タイミングが示すとおりの快速でトスカニーニの歴史的解釈を思わせる緊張感溢れる爽快な名演です。ドミンゴ参加というだけで知られるRCAへのスタジ オ録音とは別人のような生命力です。変幻自在なテンポも面白く飽きません。こういう演奏を多く遺して欲しかったと心から思います。各楽章開始を告げる指揮 棒で指揮台を叩く音はラインスドルフの怖い視線を感じさせます。第4楽章で独唱、合唱がうねりを上げる所はオペラに長じた名指揮者ならではだなあと感慨あ らたです。聖ヘドヴィヒ教会合唱団は、ベルリン・フィルとの唯一の録音であるシューベルトのミサ曲でも採用されているのでお気に入りだったのでしょう。余 談ですが厳しすぎたのか2年しかドイツ響首席を維持できませんでした。オケと何らかのトラブル(喧嘩?)があったと思われます(ドイツ響のプロフィールで もあまりラインスドルフ時代に触れておりません)。ラインスドルフに疑問を持っている方にこそ聴いて頂きたい「第9」です。
英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付。(東武トレーディング)
ベートーヴェン:
交響曲第9番ニ短調op.125『合唱』
第1楽章 [15:37]
第2楽章 [12:30]
第3楽章 [14:29]
第4楽章 [23:37]
ルーシー・ピーコック(ソプラノ)
ジークリンデ・ヴァーグナー(アルト)
マンフレート・ユング(テノール)
ハラルト・スタム(バス)
ベルリン聖ヘドヴィヒ教会合唱団
ベルリン・ドイツ交響楽団(旧西ベルリン放送響)
エーリヒ・ラインスドルフ(指揮)
録音時期:1978年9月18日
録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
録音方式:ステレオ(ライヴ)
国内仕様盤、帯付き
※帯のデザインに変更がございます。
コンディション良好。
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