Telefunken社が1950〜60年代に、PAなどの業務用途のために製造していた20cmフルレンジスピーカーユニット、Ela L 230の2本セットです。4年ほど前に、YOSHIDAスピーカーリペアサービスでボイスコイルギャップ周辺の分解清掃とコーン紙破損の修復をしていただいております。また、私自身が使っていた際に端子に付けたケーブルはそのままの状態で発送いたします。
■主な仕様
磁気回路:アルニコ
公称インピーダンス:4Ω
外形:φ200 × 110mm
重さ:約1270g
フレーム:ハンマートーン仕上げの分厚い板金製
型名のElaは、日本語では「電気音響システム」というような意味の言葉の略称で、Telefunkenの業務用の音響製品(スピーカーやマイクなど)に付けられている型名です。Elaの次のLはおそらくLautsprecher(=スピーカー)の頭文字のLだと思われます。
写真で見られるように、フレームにインピーダンス変換用のトランスを搭載できるようになっています。L230は映画館やホールなどでのPA用を主な目的として作られたと思われますが、そのような設置場所ではスピーカーケーブルを数10m単位で引き回す必要があります。長いケーブルで抵抗値が大きくなると、4Ωといった低インピーダンスの負荷では効率も悪く熱損失も大きくなってしまいます。そのためにPA用のスピーカーユニットは、ユニット自身のインピーダンスを16Ωとか32Ωのように高くする、か、変換トランスを積んで受け側のインピーダンスを上げるかし、スピーカーケーブルには高電圧低電流を流すことで損失の増加を防ぎます。電力の送電線が高電圧で、柱上トランスで100Vに下げているのと同じ理屈です。
このスピーカーユニットの音ですが、そうかこれがPAの音なのか!、と再生音が耳に届いた瞬間に納得感が大爆発するような音です。「音離れがいい」「音が飛んでくる」「中域の実体感や密度感」などなど、往年のドイツ製スピーカーユニットの美点を賞賛する数々の言葉がそのまま音になったらこんな感じか、と思わされます。人の声や、人の声と帯域の近いバイオリンなどの楽器、これらが鳴り出した瞬間に立ち現れる実体感を伴った音像は驚くほどです。
別の特筆すべき特徴は、ある意味の恐ろしい感度の高さです。このスピーカーを繋いでアニメなどを見ると、アフレコのセッションの繋ぎ、声優のいるスタジオの環境、声優とマイクの距離、アニメのシーンに合わせた反響効果をどこまで真面目に追い込んでいるか、などなどが目に見えるようです。予算が少なめのアニメと潤沢なアニメの録音環境の差などあまりにも歴然と眼前に展開されます。ある低予算アニメを見ていた時、あまりにも音がひどいので自分の再生系の接触不良を必死に探してしまったほどです。
声の通りを重視した音質をもたらしている理由の一つかと思われるのが、ノンプレスパルプの一種と見られるコーン紙です。写真では伝わりにくいですが、当時の一般的なドイツ製ユニットで使われていた見るからに薄手で軽そうで硬そうなコーン紙とは異なり、もっと厚手で、密度感はあまり高くなく、でも硬い、という不思議な素材が使われています。
1990年前後にOnkyoが、声を前に出すということを目指して木材パルプと特殊なセルロースを混抄したバイオクロスコーンと名付けた素材をスコーカー中心に導入し、一定の評価を得ていました。L230のコーンの素材は、そのOnkyoの試みのご先祖様のような感じかも、と思っています。
このように音質面で強い特徴を持つL230には、その特徴と裏腹のデメリットもあります。さまざまなソースに無難に対応するというような面はあまりなく得手不得手がはっきりしています。乱暴に言えば、クラシックは不得手でジャズの方が得意です。
低域は、おそらく60~100Hz前後の中低域がボクシーに弾む感じで目立ちます。ボーカルよりも上の帯域には少し荒れたような雰囲気があります。この高域の荒れが何かディテールを強調するように働き、上に感想を述べたようなある種の感度の高さをもたらしているようにも思っています。うまくツイーターを繋ぐことで高域の荒れはだいぶ緩和されますが、L230の良い個性をスポイルする方向でもあり難しいところです。
このL230のペアですが、中古で購入後しばらく使っていたところ、大きめの低音再生時に片側ユニットからゴソゴソ音がするようになってしまいました。調べるとボイスコイルギャップにゴミが入り込んでしまったためのようでした。自分ではどうにもできず、コーン紙にも破損箇所がありましたので、YOSHIDAスピーカーリペアサービスというところに2本とも送付し修理をして頂きました。4年ほど前のことになりますが、その修理以降は快調です。コーン紙の修理具合については6枚目の写真をご覧ください。
ボーカル曲中心にジャズを楽しみたい、というようなケースではベストマッチかもしれません。多少なりとも守備範囲を増やすには、アドオンのツイーターを1.0uF~2.2uF程度経由で繋ぐことも有効です。私の場合、同時代のペーパーコーンツイーターであるIsophon HM10(別途出品させて頂いております)を1uFを繋いでバランスを取っていました。ご参考まで、私が本ユニットを入れていたのは約30リットルの後面開放箱で、折れ曲がりを延ばして計算すると平面バッフル換算ではおおよそ1m x 1mになります。
写真をよくご覧いただきご検討ください。L230は取り付け穴の部分のフレームが狭く、取り付けるネジに少し工夫が要ります。私が使っていたワッシャーをつけたネジを付けさせていただきます。7枚目の写真をご覧ください。よろしければご活用ください。
なお、円滑にお取り引きさせていただくため、恐れながらご入札いただいた方の過去の評価履歴を拝見させていただいております。落札者都合キャンセルがある方、悪い評価2%程度以上ある方、気になる評価コメントがある方、などからのご入札については、お断りなくご入札を削除させていただく場合があります。よろしくご了承ください。