『イタリアのトルコ人』はロッシーニの最もウィットに富むが最もなおざりにされた作品の一つです。非常に独創的で新たに作り上げられた創作です。このオペラでロッシーニは、ベルリーニの台本作者であるフェリーチェ・ロマーニと初めてコラボレーションしています。ロマーニは模倣とパロディを愛するロッシーニを熟知していました。コメディア・デラルテのシナリオを提供し、彼が最初に築くよう手助けをしていた伝統を無視する機会をロッシーニに多く与えました。『イタリアのトルコ人』の脚本は愉快であり、また珠玉のスコアの中で、セリムが年老いたジェローニオに妻のフィオリッラを売るよう説得を試みるデュエットは、ロッシーニの傑作の一つとして広く考えられています。
2002年4月にチューリヒ歌劇場で行われたこの上演作品は、トゥリオ・ペリコーリの空想的で派手な装置を背景にして、チェーザレ・リエヴィとダニエラ・シアヴォーンは、豊富な新しいアイデアとオリジナルへの忠実さを組み合わせたこの不条理なコメディを演出しています。そしてなおかつ音楽自体の視点を見失っていません。 チェチーリア・バルトリは、現代に存在する最も刺激的で熟達した素晴らしいロッシーニ歌手であり、物腰・気性等がロッシーニが愛した激しいスペインのソプラノ歌手イサベラ・コルブランに実によく似ています。浮気で元気が良く魅力的な若妻は、バルトリのような快活で表現豊かな歌手に最適な役柄です。驚くほど気まぐれなフィオリッラ役のバルトリ、好色なトルコの太守役のライモンディ、愛想が良く不器用なドン・ジェローニオ役のルメツ、誠実なザイーダ役のシュミット、現実的な戯曲詩人役のウィドマーといったソロイスト達が、与えられた役柄を演じきっています。今日最も円熟したバス歌手に数えられるライモンディとルメツはその演技力で知られています。ヴェルザー=メストとオケは完璧なタイミングと見事に配分された速度で、音楽的結び付きを担う役割を果たしています。
評論家のコメント
『この作品は非常に注目に値します。 それは、一晩中貴方をとらえて離さない嵐
のごとく。とはいえ、かなりの滑稽さが全編に渡っています。』アルフレート・ツィ
ンメルリン(ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング)
キャスト
セリム(トルコの太守)・・・・・・・・・・ルッジェーロ・ライモンディ
フィオリッラ(ジェローニオの妻)・・・・・・・チェチーリア・バルトリ
ドン・ジェローニオ(フィオリッラの夫)・・・・・・・・パオロ・ルメツ
ドン・ナルチーゾ(フィオリッラの情人)・・・・・レイナルド・マシアス
詩人(このオペラの台本作者)・・・・・・・・・オリヴァー・ウィドマー
ザイーダ(セリムに惚れているジプシー娘)・・・ユーディト・シュミット
アルバザール(ジプシー)・・・・・・・・・・・ワレリー・ツァリョーフ