
PHILCO 90 ”Baby Grand” 1931
Philadelphia Battery Company
フィルコは最初に「カセドラル」型ラジオを上市したことで有名です。
そのカセドラル型のなかで最も好ましいデザインと性能と評されるPHILCO 90
そのデザインを特徴づけるのは両サイドの付け柱 ”fluted column” 。
主任デザイナーのエドワード・コブが残した最終デザインの日付が1931年2月28日。
当出品物の刻印は1931年5月。僅か二ヶ月でフィルコはモデル90を出荷していたことになります。
おそらく本機は初回生産ロットと考えても良いと思います。
Superheterodyne 9が示すように、9球構成の威容を誇ります。
224 RCA (傍熱型4極管) 高周波増幅
27 Philco (傍熱型3極管) 局部発振
224 RCA (傍熱型4極管) 第一検波
224 RCA (傍熱型4極管) 中間周波増幅 IF175KHz
27 Philco (傍熱型3極管) 第二検波
27 WARD (傍熱型3極管) 第二検波増幅
27 Cunningham (傍熱型3極管) 電圧増幅
47 Philco (直熱型5極管) 電力増幅
80 RCA (直熱型2極管) 整流
本機のシャシーは、往時のナス管を多く残しており、大変貴重です。
球の多さだけでなく、AVCや、三段階のトーンコントロールなどが採用されていて
当時として新しい機能を取り入れた結果、とても聴きやすいラジオだったようです。
それにしても4連バリコンには驚かされます。回路を見ると、高周波増幅段にLC同調回路が2つあるのです。
このラジオが特別な性能を与えられていることが判ります。
回路の修復を終えて通電してみます。
全ての真空管に灯が入り、エミッションが安定するまでやや時間が掛かります。
およそ1分弱でしょうか。放送が聴ける状態になります。
一たび鳴ってしまえば、色々選局してみたくなるでしょう。
ダイアル機構はダイアル糸を介さないフリクション(摩擦)式です。
選局ノブを下側に押し付けるようにして回すと、ダイアルがスムーズに動きます。
思っている以上に色々な局が入ってくることでしょう。
工房のある兵庫県加東市では、ラジオ関西、NHK-1、NHK-2、朝日放送、毎日放送のローカル局を難なく受信しました。
出来るだけ長いアンテナを繋いでください。付属のアンテナに更に継ぎ足して伸ばすのが良いです。
住宅の建築構造(コンクリート、木造)によっても受信結果が変わります。
上記のインプレッションは、当工房兵庫県郊外の木造家屋にて得たものになります。
さて、本機は大きいうえ(幅43cm×奥行30cm×高さ46cm) 重量18kgと大変重いので、華奢な日本人には取り扱いが
難しい品物です。20Lの石油ポリタンクを抱え上げるイメージですが、工芸品であり精密機器なので一層厄介です。
梱包は取り出しやすい前開きに作りますが、それでも取り出しが難しいと思ったら、二人作業をお勧めします。
大切なラジオを壊すリスクが減らせるでしょう。
お届けはヤマト宅急便160サイズの予定です。
本品は念入りに修復して機能を回復しておりますが、主要部品の多くは95年を経過しており、
いつその機能が失われるか予測の出来ない物になります。
輸送もリスクの一つです。この点理解頂いた上で入札ください。ノークレームノーリターンです。
今回の出品物は稀少な動作品につき、入札状況により正当な評価が得られていないと判断すれば、
出品者は出品料を放棄してオークションを終了し、出品物を保全することがございます。
ご理解賜りますようお願い申し上げます。